3 posts tagged “野村美月”
シリーズ開始初期の頃は遠子先輩が妖怪かどうかで議論が行われていたはずなんだが、完結編において、あっさり流されました。 まあ、本質はそこじゃないから問題は無いんだが、もうちょっとフォローがあっても……。
というわけで、ついに天野遠子という物語が解体されたわけだが、なんというか、「とりあえず終わらせました」的な投げやり感が漂っている。
この「神に臨む作家」は上下間で天野遠子の解体と心葉の復活の両方を描こうとしている。 天野遠子に付いてはこれでよいとしても、心葉がもう一度小説を書こうとする流れに説得力を感じられず、「プロット通り進めた」だけに感じられた。
と、不満は色々あるのだが、最大の不満は大蛇足のエピローグがあることだ。 このエピローグがこのシリーズの締めをひたすら安っぽくしている。 こんな安っぽい救済が本当に必要だったのだろうか。
とっても残念な終わり方をしてしまったシリーズだが、それ以外はミステリであったり、古今東西の文学作品の書評であったり、キャラクタ小説であったりと多種多様な貌を持つ、一粒で二度も三度もおいしいシリーズだったと思う。
それはともかく、これは特別編というよりも本編そのものでしょう。
今回もトリックというか、“ゆり”と“白雪”の関係性が「無茶だろそれ!」と思うほどに強引だった気がするが、巻を追うごとにミステリ色を薄めていってるようなので気にしないことにする。
前回であれだけのヒキで期待させておいて、番外編かよと思ってたけど、直球の本編で安心したと同時に、「ああ、この物語ももう終わっちゃうんだなあ」と寂しくなった。 少しずつベールが剥がれていく“文学少女”の、その真ん中に何があるのか、ますます楽しみになってきた。
ところで、2chで指摘されていたが、「登場人物に当たり前のように恋人が居る」という設定は女性作家ならではのことなのかもしれないね。 俺の青春時代に恋なんてありませんでしたよ?
すいません、太宰治は読んだことがありません。 だって文学作品って辛気臭いってイメージしか無いもん!
というわけで(どういうわけだ?)、文学少年だったことが無いので文学少女に縁はありませんでした。 スニーカー文庫と早川文庫とコバルト文庫(昔はBLレーベルじゃなかったんだYO!)を読んでた人間なので古典はさっぱりわかりません。
だいたいが一章の頭の、
なんて表現を読んでも、「排ガスで真っ黒になっちゃうけどな、都会の雪は!」とか思っちゃうような夢のない子供でしたよ? 文学とやらとは対極いましたよ? そんなわけで、文学に対するイメージは「ギャリコの物語は冬の香りがするわ。 清らかに降り積もった深雪を、舌の上でそっと溶かし、その冷たさと儚さに心が気高く澄んでゆくような、そんな美しさと切なさがあるわ」
- 不貞のエロ
- 自殺ネタ
- 病人ネタ
という変な女の子に惹かれたのが原因です。 やられました。 上記の一文で完全に嵌りました。 いやもう、可愛すぎます。 とんでもない駄文を「マズッ」とか言いながらもちゃんと最後まで食べちゃうところとか「ああ、物語が好きなんだなぁ」と自然に伝わってきちゃいます。 これはもう、キャラ造形の勝利だと思う。白い指でおもむろに本のページを破くと、遠子先輩はそれをぱくりと口にくわえ、ヤギのようにむしゃむしゃと食べはじめた。
で、お話の内容はちゃんと文学してます。 なんせ、「不貞」と「自殺」がキーワードです。 そんな理由で結婚して子供産んじゃったら子供が可愛そうだろ、とか、そんな理由で振られた男もいい面の皮だよな、とか思っちゃって、思考が内向きで自己中な女にはまったく共感できません。 まだ、「他人と感情が共有できない」と悩む人間のほうが共感できます。
遠子先輩のほわほわしたキャラと、キーパーソンの内向きで自己中でぶっちゃけウザったいキャラとの対比がきっちりしているので、読んでいてウザさが無いのはやっぱりキャラ造形の勝利だと思う。